仙台市地下鉄東西線計画の見直しを求める決議
 近時、過大な需要予測に基づいてすすめられてきたダムや高速道路など、巨大公共事業が予測を大幅に下回る現実に直面し、各自治体の財政を圧迫させている。住民もこれらの事実に気づき巨大公共事業を見直し、税金の使い方を根本から変えることを強く望んでおり、巨大公共事業の見直しが全国各地で進められている。
 とりわけ、地下鉄事業については、札幌、京都、名古屋、福岡等々の他の政令指定都市において軒並み、経営が悪化し、累積赤字が増大しているが、事業を廃止することもできず、回復困難な損害が発生している。
 仙台市は、上記公共事業・地下鉄事業の実態を省みずに、地下鉄東西線計画が、採算面から十分に成り立つと述べる。しかしながら、仙台市は、住民からの、
(1) なぜ、他の同種地下鉄が1q当たり300億円もの工事費を投入しているのに、仙台市だけが190億円で工事が可能なのか。その積算根拠は何か。
(2) なぜ、1日の需要予測が13万人という数字になるのか。「開設時の人口推計値112万人」「1日あたりの需要予測13万人」の具体的・科学的根拠はなにか。
という根本的かつ重大な問題点の指摘にすら具体的・科学的な回答をできないでいる。
 私たち全国市民オンブズマンは、今回、宮城県・仙台の地において、公共事業・情報公開のあり方等を議論・検討し、自治体が住民に対し正しい情報を公開し、市民的議論を行うことこそが地方自治の本旨・民主主義の原理に沿うものであることを再確認した。そして、国は自治体からの事業許可申請等につき許可・認可権者として、上記のごとき十分な議論が尽くされ、合理的・科学的判断がなされているかを厳しく審査・検討することが、過去に繰り返されてきた巨大公共事業による税金の無駄遣いを防止し、ひいては各公共団体の財政破綻を避け得ることを再確認した。
 ついては、私たちは、仙台市長に対し、地下鉄東西線計画の見直しを行うこと、国土交通省大臣に対し、仙台市申請の地下鉄東西線にかかる事業許可申請(交東管第4号)につき鉄道事業法第5条1項「その事業の計画が経営上適切なものであること」に該当しないとして仙台市へ同計画の見直しを行うよう求め、本決議をする。
2003(平成15)年8月31日
第10回全国市民オンブズマン大会in仙台
参加者一同