外務省の「不開示情報の独立一体性」論は認められない。
―センターの異議申立を審査会が支持―
大使館の渡切費出納簿の一部開示事件で答申(11・9)
 情報公開審査会は11月7日に、5大使館の渡切費出納簿の一部開示処分に対する異議申立てに関する答申を行い、外務省が不開示とした相当部分を不当であり開示すべきとした。
 情報公開市民センターは2001年7月に米・英・仏・中国・フィリピンの5大使館での2年度分の支出出納簿の情報公開請求を行った。外務省は一部開示の決定をなし、不開示理由として、個人識別情報、および館用車の修理にかかわる支出は車両を識別されると襲撃を受けるおそれがあるとした。
 センターは直ちに異議申立書を提出したが、2年近く経ったこの7月に外務省は情報公開審議会に諮問を行った。センターは8月に理由説明書を提出、審議会は10、11月にインカメラ見分と審議を行って答申したものである。
 センターが主張した論点が大幅に認められたが、答申の主な内容は次のようなものである。
1.外務省の「一つ一つの支出の情報は独立した一体的なものである」として「摘要欄から備考欄に至るまですべてを一括して不開示とすべき」との主張は採用できないとして退け、不開示情報の範囲は「おそれ」等を生じさせる原因となる情報の範囲に限られるとした。
 これは平成14年度に資源エネルギー庁の諮問案件での答申を踏まえたもので、平成13年の大阪府知事交際費訴訟での情報一体化の最高裁判決は限られた場合以外には適用すべきでないとするものである。
2.館用車の修理支出に関わる一切の情報の不開示に対し、車両ナンバー以外の修理・定期点検・保険などの使用目的、支出日、金額などすべてを開示すべきとした。
3.センターの「不開示は最小限にすべき」との主張が認められ、指定職以下の大使館職員の出張・現地職員の移動について、職務遂行に係わる情報として職名は開示すべきとした。
4.同じように、米英人叙勲受賞者、講演講師について、公にする慣行・予定があるとして職名・氏名を開示すべきとした。
5.契約派遣員・専門調査員の氏名、および大使館職員配偶者の出産帰国旅費の職員氏名は5条1号の不開示情報であるが、6条2号の適用により氏名を不開示にすれば職名については公けにしても個人の権利利益が害されるおそれがないため開示すべきとした。
 答申は下記の情報公開審査会の答申ホームページで見られます。答申番号は平成15年度 378〜387。
http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/index_t.html