第三 当面の改善制度提案
 以下に提案する内容の一つ一つは細かいことのようではあるが、細かいことの積み重ねこそ改善への近道であることを肝に銘じて、ぜひ努力していただきたい。
T、「行政文書開示請求書」の取扱いについて
1、コンピュータ資料には請求者氏名を入力しない。
 まず、コンピュータ資料では個人名ではなくて受付番号などの記号(例えば、日付、アルファベットと数字の組み合わせ)で区別することを提案したい。
 この提案への反応は、半分が「記号で代用できるかも知れない」であった。
 しかし、後の半分は、同一文書に多数の請求があった時の区別の困難さを理由に氏名を削除することに強硬に反対する。「氏名も一種の記号であるから、慣れの問題ではないか」との質問には「記号ではイメージが湧かない」との意見さえあった。
 最も説得力がある反対意見は「請求者から進捗状況について電話照会を受けたときに、資料に氏名が掲載されていないと相手を名前で呼べないので応対に礼儀を欠く」というのであった。名前で呼ばれなくて失礼だと怒る人と、個人情報が保護されていると喜ぶ人とどちらが多いか、やって見なければ分からない。
 請求者氏名を最初から入力しない省もあるのだから慣れの問題であり、受付番号や記号で処理することは不可能ではあるまい。
2、委任機関からの照会資料に請求者名を要求しない。
 本来、開示請求された行政文書のみを上級庁に送付して開示の判断を仰げば足りる。請求者氏名まで添付することは、請求者の所属団体や立場を判断の材料にされると疑われてもやむを得まい。請求者氏名の添付は百害あって一利なしである。
3、応接記録書は請求者の面前で記入する。
 防衛庁での請求者リストに応接記録書に記載された本人情報が掲載されたことが国会で取り上げられのを契機に、この記録書の作成を中止した省庁が多いと言われる。
 このような個人情報をコンピュータ資料に入力するなどは言語道断ではあるが、文書特定のために請求者との応対が必要なケースも多い。また電話での照会などでは備忘録として応接記録書が必要なケースもあろう。
 応接記録書の使用を文書の特定に限定するために、請求者氏名欄を削除または簡略化するなどの工夫をすれば、この記録書は効率的な業務運用に資する可能性がある。面談応接の場合は請求者の面前で記載することが必要不可欠だろう。