第9 結論

 よって、本件各行政文書に法5条3号、6号所定の不開示情報が記録されていると判断して行った本件不開示決定は適法であり、その取消しを求める原告の請求が棄却されるべきことは明らかである。

(注1) 最高裁平成6年3月25日第二小法廷判決について
参照条文
京都府公開条例5条6号
 府若しくは国等が行う審議、検討、調査研究その他の意思形成の過程における情報であって、公開することにより。当該若しくは同種の意思形成を公正かつ適切に行うことに著しい支障が生じるおそれのあるもの又は府若しくは国等が行う取締り、監督、立入検査、試験、入札、交渉、渉外、争訟、許認可その他の事務事業に関する情報であって、公開することにより、当該若しくは同種の事務事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるおそれがあるもの。

 なお、同判決に関しては、「最高裁判例は、表現の自由の保障の反面として(最大判昭59・12・12民集38巻12号1308頁、(中略))、あるいは、憲法21条1項の規定の趣旨、目的等からその派生原理として導かれるものとして(最大判昭58・6・22民集37巻5号793頁、最大判平1・3・8民集43巻2号89頁)、いわゆる「知る権利」を認めている」が、「専ら情報摂取の自由が、しかも憲法21条1項等の趣旨、目的から、いわばその派生原理として導かれるとするものであるにとどまるものであるから、まして、情報管理主体に対して積極的に情報の開示を求める具体的な請求権としての知る権利までもが憲法から導き出されるものであると認めることは困難であろう。」として、「そうすると、具体的な内容をもった情報公開請求権は、条例によって創設された権利であるといわざるを得ないであろう。このような考え方によれば、情報公開請求権を付与するかどうか、情報公開請求権の具体的な内容をどのように定めるかは、立法政策の問題であ」るとのコメントがあり(判例時報1512号23ページ、判例タイムズ864号196ページ)、同旨の論考(内野俊夫「情報公開請求権の根拠、非公開決定取消訴訟の訴訟物」現代裁判法大系28巻278ページ)もある。

(注2) 最高裁平成6年1月27日第一小法廷判決
参照条文
大阪府公文書公開等条例
8条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。

4 府の機関又は国等の機関が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は同種の調査研究、企画、調整等を公正かつ適正に行うことに著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

5 府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

9条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしてはならない。

1 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの

(注3) 最高裁平成6年2月8日第三小法廷判決
参照条文
大阪府公文書公開等条例
8条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。

4 府の機関又は国等の機関が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は同種の調査研究、企画、調整等を公正かつ適正に行うことに著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

5 府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

(注4) 最高裁平成13年3月27日第三小法廷判決
参照条文
大阪府公文書公開等条例
8条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。

4 府の機関又は国等の機関が行う調査研究、企画、調整等に関する情報であって、公にすることにより、当該又は同種の調査研究、企画、調整等を公正かつ適正に行うことに著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

5 府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、交渉、渉外、争訟等の事務に関する情報であって、公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

9条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしてはならない。

1 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの

10条 実施機関は、公文書に次に掲げる情報が記録されている部分がある場合において、その部分を容易に、かつ、公文書の公開の請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときはその部分を除いて、当該公文書の公開をしなければならない。

1 第8条各号のいずれかに該当する情報で、当該情報が記録されていることによりその記録されている公文書について公文書の公開をしないこととされるもの

2 前条各号のいずれかに該当する情報

(注5) 最高裁平成13年5月29日第三小法廷判決
参照条文
京都府情報公開条例
5条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の公開をしないことができる。

1 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、個人が特定され得るもののうち、通常他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの

6 府若しくは国等が行う審議、検討、調査研究その他の意思形成の過程における情報であって、公開することにより、当該若しくは同種の意思形成を公正かつ適切に行うことに著しい支障が生じるおそれのあるもの又は府若しくは国等が行う取締り、監督、立入検査、試験、入札、交渉、渉外、争訟、許認可その他の事務事業に関する情報であって、公開することにより、当該若しくは同種の事務事業の目的が達成できなくなり、若しくはこれらの事務事業の公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるおそれがあるもの

(注6) 最高裁平成6年1月27日第一小法廷判決
参照条文
栃木県公文書の開示に関する条例
6条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、公文書の開示をしないことができる。

5 県の機関又は国等の機関が行う検査、監督、取締り、争訟、交渉、入札、試験その他の事務に関する情報であって、当該事務の性質上、公開することにより、当該事務若しくは同種の事務の目的が失われ、又はこれらの事務の公正若しくは適切な実施を著しく困難にするおそれのあるもの
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