外務省報償費情報公開訴訟第14回口頭弁論・傍聴記
 第14回口頭弁論は2月18日(水)11時30分から東京地裁606号法廷で行われた。

出席者
原告側:高橋、羽倉、土橋、谷合の4弁護士
被告側:法務省、外務省情報公開室など6名
傍聴席:原告側、被告側それぞれ数名

 今回の口頭弁論は、直前の2月10日に情報公開審査会が、報償費不開示への異議申立てについて、一部の開示を求める答申(別ページの2・10答申コメントを参照)を出したため、どのような展開になるか注目されるものとなった。
 冒頭に裁判長は原告・被告それぞれに対し、提出した準備書面の記載どおりに陳述することを確認した。
 原告が1月に提出した準備書面(7)は、昨年12月に情報公開請求で開示を受けた「在外公館交流諸費」の支払証拠書類を詳細に点検して、この費目による支出は、相手先・使用目的から見て情報収集や外交工作のためのものであるが、諸活動がかなりの程度まで開示されていること、それとの対比で、「報償費」の全面不開示は不当であることを主張した。
 被告の2月18日付の準備書面(9)は、従来の主張の繰り返しであるが、「不開示情報の独立一体性」論の論拠として昨年9月以後の3件の判例を引用した。また「在外公館交流諸費」は「報償費」とは目的性格が異なるもので、その開示状況は「報償費」不開示該当性を否定する論拠にならないとした。
 被告は情報公開審査会の答申を受け、準備書面(10)も提出し、審査会の答申を重く受け止め、指摘を受けた5類型について開示を行う所存であるとした。
 裁判長は、「被告が一部について開示を行うことになり、範囲・テーマが絞り込まれる。残ったものについて議論をしてもらう。」として、被告に「主張を整え、整理した書面を提出すること、またそれ以前に開示できる文書の開示を実施すること」を指示した。
 原告の「交流諸費」についての主張に対して、被告は事実関係の認否も反論もしないと回答した。

次回口頭弁論:2004年4月28日(水)午前11時、606号法廷

コメント

1.「交流諸費」による会食は、被告は「交流のためで、公にしたとしても基本的には支障を来たさない活動に用いる」と主張する。しかし相手の所属機関はかなり開示されていて、任地国の政府機関・調査研究機関が多いことがわかり、役職・氏名はほとんど墨塗りである。目的もテーマの多くは墨塗りされているが、「情報収集」「意見交換」などの部分は墨塗りされていない。これらから、相手・目的は「報償費」の相手・目的とかなり同一であると言え、また公にして支障がないどころか、情報公開法5条3号・6号を根拠にして墨塗りをしているという点でも「報償費」と目的・性格の同一性は明らかである。被告の「性格が根本的に異なる」というだけの反論では説得力がなく、説明責任も果たせていない。

 2.被告が判例を引いて主張する「不開示情報の独立一体性」論を、情報公開審査会の2月10日の答申は、部分開示を求めることによって採用しなかったことになる。その他の複数の答申でも審査会は「不開示部分は最小限の範囲に限るべき」ことを求めている。この考え方が情報公開の正しいありかたであろう。

(鈴木 記)