外務省報償費情報公開訴訟 第21回口頭弁論・傍聴記
 行政文書不開示処分取消請求事件の第21回口頭弁論は2005年4月22日、午前11時から第606号法廷で行われた。 (前回は2月24日開催)
     原告側:高橋、羽倉、土橋、谷合の4弁護士
     被告側:法務省、外務省情報公開室など9人
     傍聴者:センター相談員3名など10人

口頭弁論の概要
裁判長が市村裁判官から大門裁判官に交代した。
1)弁論更新
裁判官が交代し、裁判所の構成が新しくなったとして、これまでの弁論内容の弁論更新手続を求められ、双方、従来の主張を継続することを確認した。
2)被告から4月8日づけ準備書面(14)乙20〜28号証、が提出された。
(従前の主張の繰り返し。一部、対象文書の説明が追加された)
3)経緯
原告(高橋) 前々回から、被告はこれ以上主張しないといい、原告も了解して結審すると言われてきたが、被告の新たな書面の提出について前裁判長から、まず、提出された書面を見てから、と言われたので同意した。同様の主張の繰り返しはいかがなものか。
被告 回答無し。
原告(高橋) 提出書面について、55頁9行目5類型の「つまり」以下で、「本来的に不開示とすべき」だが、審査会の答申では開示と判断されたとの趣旨の記載があるが、「本来的に不開示とすべき」との判断は、外務大臣の判断として主張しているのか、審査会の判断として主張しているのか?
被告 書面での回答を検討する。
原告(高橋) 会計検査院の指摘は、報償費以外の費目で支出すべきであるとの指摘であり、機動性の低下云々を理由に、開示すべきなどとは指摘していない。被告の主張も、この趣旨でよいか?
被告 主張にわたるので必要があれば原告の主張を提出すべき。
原告(高橋) 在外公館交流諸費との対比について
情報収集、外交工作活動のための経費であることが明らかであるが、情報公開されている。これと同様の活動のために収集されている報償費については、不開示とする必要があることについて、被告からは具体的な応答がない。この点については、今後も、応答しないということでよいか。
被告 国際交流費と報償費とは別のものだ。主張は提出済である。(両者は趣旨目的が違う―解説)
裁判長 裁判所の構成が変わったばかりということもあるので、原告が指摘すべきことがあれば、わかりやすく、書面で提出してほしい。
被告 2月24日付け上申書で、甲号証の一部(開示された文書を提出―解説)について指摘している。書証の差し替えをするのか、原告の対応を確認したい。
原告(高橋) 点検してみる。基本的には被告保有の文書で被告が開示したものであるから、争うことは無いものと思う。

次回期日
 6月23日(木)午前11時、606法廷と決定。

コメント
 裁判長と右陪席裁判官の交代を受けての最初の弁論だが、仕切りなおしの部分も出てきそうで、一度は結審を、としながらの事態は前裁判長の無責任さを感じさせるものとなった。結審を延ばしてまでこだわった被告からの書証は、使用目的を情報提供・外交交渉の対価、会合の経費に細分したもので、項目が追加されたなどの改善はあるものの、対象文書の内容・外形的事実について明らかにする、とした目的を満たした内容とは見られない。書面の項目を区分し整理したにすぎず、単なる引き延ばし、はぐらかしでしかない。次回には、前回に引き続き、結審を求めてよいのではないだろうかと感じた。
(村越啓雄 記)