外務省報償費情報公開訴訟 第22回口頭弁論・傍聴記
 報償費不開示取消訴訟の第22回口頭弁論は2005年6月23日、午前11時から第606号法廷で行われた。
     原告側:高橋、羽倉、土橋、谷合の4弁護士
     被告側:法務省、外務省情報公開室など9人
     傍聴者:センター相談員など4人

口頭弁論の概要
・原告は準備書面(9)および(10)(被告準備書面に対する反論)を提出、陳述した。
・また原告が以前に証拠提出した一部開示文書が被告と異なる整理をしているので、相異部分については被告が証拠提出することとなった。
・一部開示部分の訴えを取り下げることについての表現方法を原告で検討することにした。
・原告準備書面(10)で行政手続法8条違反を主張しているが、独立した違法事由として主張するものでないことを確認した。

次回期日
 次回は9月13日(火)10時30分とし、被告の反論提出期限を8月19日とした。

コメント
1.被告は報償費の定義を中途から変更
 被告の「報償費は公にしないことを前提とした外交活動に支出されるものである。」という新しい定義(第8準備書面から)は、当初からの定義を覆すものである。「公に行う活動」と「公にしないことを前提とした外交活動」の区分は、基準のない恣意的なものであり実態にも反していて、報償費の保秘性の証明にはならない。
2.会合の経費は開示すべき
 被告準備書面は1069件の使途を、(1)情報提供等の対価、(2)会合の経費、(3)五類型の物品購入・役務の経費に細区分した。(1)は64件、(2)は953件、(3)はすでに一部開示した52件である。
被告は「情報提供等の対価は保秘性が高い」との議論から、「報償費全体が保秘性がある」と飛躍した主張をしている。
 「在外公館交流諸費」は別途の請求で相当程度に開示されたが、正式ルート以外で会合によって情報収集活動を行っているもので、被告の2区分によれば「公にしないことを前提にした活動」であることが読み取れた。「交流諸費」を開示したのならば、報償費で支出した会合の経費はそれに準じて開示すべきである。
3.「報償費すべてに保秘性あり」は成り立たない
 被告は五類型の文書についても本来は保秘性があるとしているが、開示結果はおよそ保秘性がない支出であった。大使着任パーティや数多いワイン類購入の使用目的欄に情報収集用または外交工作と記載されていることから見て、情報収集や外交工作用と称する新区分の報償費支出の大半も保秘の必要性は疑わしい。
 対象文書は支出決裁に必要な書類であり、会合の内容や入手した情報が記載されたものではない。また被告が各件を構成する決裁書・見積書・請求書・領収書などの書面ごとに記載項目を一覧整理できたように、保秘の必要な事項が「容易に区分し難い状態で随所に記載されている」(審査会答申)というような文書でもない。全面不開示はもはや成り立たない。
(鈴木祥宣記)