警察見張番を立上げ

−かながわ市民オンブズマン−
警察見張番の設立経過 −シンポジウム1回目−
 皆さん御存じのとおり、99年秋、神奈川県警の「不祥事」・犯罪が一挙に吹き出し、国民の警察に対する不信と怒りが広がりました。

 そうした中、従来から警察の犯罪問題に取り組んできた、あるいは警察問題に関心をもってきた9団体(神奈川市民オンブズマン、かながわ女性会議、かながわ市民フォ−ラム、国民救援会神奈川支部、元盗聴神奈川の会、元坂本弁護士一家を探す会、神奈川労働弁護団、自由法曹団神奈川支部)が集まり、「これでいいのか?神奈川県警!」と題するシンポジウムを2回にわたり開催しました。

 1回目は、99年11月27日、横浜弁護士会大会議室で約180名の市民が参加して開かれました。先ず、押収ネガ持ち出し事件(相模原南署)を果敢に報道してきた神奈川新聞大胡文夫報道部長から、県警幹部から取引や脅しを受けた生々しい話などが語られ、次いで坂本弁護士一家殺害事件の被害者坂本郁子さんのお父さん大山友之さんから、警察が意図的に捜査をサボタ−ジュした実態につき厳しい批判が出されました。その後続いて報告された内容を箇条書きにすると、

  1. 小田原署暴行事件国賠訴訟弁護団・高橋宏弁護士から警察の取り調べの実態について

  2. 岡村三穂弁護士から横浜弁護士会に寄せられる人権救済事例のうち最も多いのが警察による人権侵害であることなどについて

  3. 元盗聴神奈川の会のいだむつつぎ氏より共産党緒方宅盗聴事件の裁判において、警察官が証人呼出になかなか応ぜず、ようやく出てきても宣誓も証言も一切拒否したことなどについて

  4. 益子良一税理士が県議会の防災警察常任委員会が原則傍聴を認めず、しかも請願を出した後、意見陳述を認められたのが3分間のみであったことなどについて

  5. 国民救援会神奈川支部の小川国亜事務局長から、警備公安部門が予算の78パ−セント、人員の4分の1を占める偏重ぶりと、犯罪を犯しても出世する警察の体質などについて話されました。
 どの報告も告発に近いものでした。その後、県警・公安員会などの情報公開の徹底、警察から独立した県民参加の監査機関設置などの改革提案を行いました。

警察見張番の設立経過 −シンポジウム2回目−
 2回目は、今年2月10日、県民サポ−トセンタ−2階ホ−ルにおいて、約100名の市民が参加して開かれました。

先ず、横浜弁護士会・人権擁護委員会の西山宏弁護士から同委員会の紹介の後、警察による人権侵害事例について、匿名の元警察官から正義を守るために警察官になったが、警察では一般国民につき「部外者には気をつけろ」などと教え、身内のかばい合いがひどく、捜査能力も著しく低下している実態などについて、櫛引義貴医師から飲酒検知官検知の問題点について話されました。

 次いで、会場から、警察官の子息にはねられた事件が警察によってもみ消された事件、司法解剖していないのに死体検案書を書いた監察医の件、犯人が自白しているのに警察が被害者を脅して不起訴にしてしまった事例など次々と報告されました。

 その後、大川隆司弁護士から、即効性はないが、じわじわと漢方薬的に効くものとして一人ひとりの市民が作る「警察見張番」を立ち上げ、当面、県公安委員会の議事録の公開請求を行い、何が報告され何が指示されているかを明らかにしてはどうかとの提案がなされ、会場から圧倒的賛同を得ました。

 以上の提案を受け、私たちは、「警察見張番」を立ち上げるために準備会の会合を重ね、市民が自分たちの手で警察を監視していくために何ができるか、どのような組織にするかなどについて議論してきました。

 その後、市民から寄せられた被害事例を見ていると、その数の多さと酷さに驚くと共に、「警察見張番」では到底各事件に対応し切れないため、これらの事件への対応は、対象外とせざるを得ないことになりました。

警察見張番の今後の活動
 そこで、警察の情報を徹底的に公開させることを通じ、公安委員会・県警・各警察署を監視していくことを活動の中心におくことを「警察見張番」設立総会で確認しました。具体的には、

渡辺元県警本部長などの犯人隠避・証拠隠滅事件の刑事記録の閲覧請求

この刑事事件の有罪判決が7月に確定したため、「刑事事件確定記録法」に基づき閲覧を請求し、事件の背景、県警組織の問題点、改革の方向などを考える素材としたい。

公安委員会の議事録の公開請求

公安委員会が本当に県警を管理しているのか、いないのか、チェックする必要がある。

経理文書の情報公開請求

公安委員会・県警が情報公開実施機関となる前でも、財政・経理は、知事部局の権限に属するので、公開請求をして、透明度をチェックしていく。

警察発行誌紙の公開請求

かつては、「県警察報」などを公開していたのだから、現在公開を拒否する理由はないはずだ。
などを今後の活動として考えています。これらは役員会・定例会で相談しながら進めていきます。