第3回 中央省庁情報公開度調査と結果
(情報公開度ランキング)
2003年8月



− 目次 −
T 概要と特徴

U 調査結果の概要

V 会議費の評価と問題点

W 職員旅費の評価と問題点

X 諸謝金の評価と問題点

Y 制度運用の評価と問題点

Z まとめ

表1.ランキング表(総括、前年比較付き)

表2.採点表(明細)

表3.採点基準

特定非営利活動法人 情報公開市民センター

〒160-0008 東京都新宿区三栄町10-1橋爪ビル2階
Tel 03-5368-1520 Fax 03-5368-1521
E-mail : info@jkcc.gr.jp
URL : http://www.jkcc.gr.jp

T 第3回中央省庁情報公開度ランキングの概要と特徴
はじめに
 情報公開市民センターは第3回中央省庁情報公開度調査を実施することとし、2003年4月24日、15省庁に対して「会議費」「職員旅費」(いずれも初めての調査項目)および「ゥ謝金」(継続調査項目)について開示請求を行い、その開示度および制度運用の適正度を評価しランキングを行った。
 各省庁の開示の程度は、この2年間で一定のレベルに収斂してきたという印象があるので、今後、ランキングを継続すべきかどうか当センターの内部でも議論があった。しかし、制度運用面から見れば、各省庁の対応にかなりの差が認められることから、今回は制度運用に重点を置いて実施することとした。
1.調査の概要
  対象省庁(15省・庁・院)
内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛庁、警察庁、会計検査院
外務省については4在外公館(在米、在仏、在中国、在フィリピン各大使館)も対象にした。
  請求文書と対象期間
会議費 2002年12月分
職員旅費 2003年3月分(4月出納整理期間分を含む)
諸謝金 2002年10月〜12月分
 昨年度まで対象とした報償費は内閣官房、外務省(在外公館を含む)、防衛庁、警察庁に対して開示請求したが、警察庁の一部を除いて今回も不開示となった。
 外務省は一部を除きこの調査報告書作成までに開示しなかった。開示された文書の範囲での評価を行なったが、総合ランキングは失格とした。
2.調査の特徴
(1) 制度運用の重視
 各省庁が情報公開法や平成14年9月12日の最高裁の判決(事業者の請求書に記載された振込先口座や印影の不開示の原判決を破棄した奈良県食糧費情報公開請求事件)の趣旨を正しく運用に生かしているか、また制度を利用し易いものにする努力をしているかを評価するためにいくつかの追加・変更し、配点は前回、200点満点を開示度に130点、制度運用に70点配賦したが、今回は開示度90点、制度運用110点とした。
(2)  制度運用での従来からの評価項目である「手数料の現金払いの可否(5点)」「受付書の交付(5点)」「請求から閲覧までの日数(30点)」に加えて次の変更を行なった。
新設
法人事業者からの請求書記載の振込先金融機関名・口座番号および印影の開示 20点
不開示の理由説明の適切さ  「会議費」「ゥ謝金」で 各10点
請求時点では未作成だった前年度の職員旅費の出納整理期間中(4月)の支出決定簿、支出証拠文書を開示したか 5点
庁費の支出決定簿で「会議費」を区別するために会議費と注記してあるかまたはマーキングを付したか 5点
評点引上げ  請求件数のカウントの適正さ   10点→20点
(3) 対象部局の変更
 前回までは大臣官房を請求対象としていたが、今回からは特定の局課に対象を変えた。
<目次へ戻る>
U 調査結果の概要表1参照
ベスト3 1位
2位
3位
環境省 (183点、前回6位)
総務省 (167点、同1位)
国土交通省 (160点、同4位)
ワースト3 最下位 14位
13位
12位
財務省 (117点、前回2位)
防衛庁 (119点、同10位)
内閣官房 (120点、同8位)
敢闘賞 5位
5位
会計検査院 (157点 同4位)
警察庁 ( 157点 同9位)
1位  環境省は会議費、職員旅費は完全開示した。請求から閲覧日までの日数も30日以内と早期開示に努め、また請求書に記載された振込先口座や印影についての最高裁判決の趣旨を正しく受け止め、運用の適正化にも積極的に取り組んで高得点につながった。
2位  総務省は情報公開法の担当省として、これまでも常に積極的に取り組んでおり、優れた成績を残している。 問題は請求件数のカウント。 会議費の個別の支出文書の請求に対し、ほとんどの省庁では「会議費支出の関連文書」として会議費請求すべてで1件としたが、総務省では、会議担当局毎にカウントするとし合計5件と判定した。 情報公開制度を利用する権利を制約するものであると判断して減点した。
3位  国土交通省も開示状況は高いレベルであるが、総務省と同様、請求件数カウントで大きく失点した。会議費の個別の支出文書を会議ごとにカウントして5件と判定した。開示期間の短縮化、現金払いの受け入れなどの制度運用面での改善に期待したい。
最下位14位  昨年度は第2位の高順位だった財務省が最下位に転落した。会議費、諸謝金で全般的に開示レベルが低くなった上に、制度運用面での減点が大きい。 請求書の振込先口座、印影が消されていること、また全省庁の中で唯一、請求の受付書を交付しないことなどが原因。 情報は原則開示の基本に立ち返り、請求者の利便向上にも十分心がけて欲しい。
13位  防衛庁は開示レベルの低さに加え、財務省同様、制度運用の適正度で劣る。 昨年度まで開示していた顧問への謝金を不開示にするなど後ろ向きの対応が目立つ。職員旅費の出納整理期間中の文書を不存在扱にするなど、制度運用面でも他の省庁と対比して極めて杓子定規な対応である。
12位  内閣官房は情報収集活動に関しては殆ど墨塗りで開示レベルが低い。 また請求書の印影は開示していながら、振込先口座は「法人等の内部管理情報であり、開示することにより利益を損なうおそれがある」として不開示にするなど対応が中途半端である。
敢闘賞  会計検査院(5位)は制度運用面110点満点中103点を獲得、また警察庁(5位)も同97点を得ており制度運用面のレベルが高い。 両官庁ともに検査情報や治安・捜査情報などは不開示としており、開示レベルは高くはないが、不開示理由の説明が具体的であり、請求から閲覧までの期間は30日以内を実現し、請求書の振込先口座、印影を開示している。 制度運用の適正化に努力している姿勢は高く評価してよい。
<目次へ戻る>
V 会議費の評価と問題点
1. 開示請求の概要
開示請求した文書は次のとおり。
(1) 本省において平成14年12月に支出された会議費の記載のある庁費支出決定簿・一覧表。
(2) 省庁毎に上記の支出決定簿から抽出した約10件の支出について
(ア) 会議の名称、目的、日時、場所、出席者数、出席者名、支出金額、費用の内訳がわかる文書
(イ) 支出決定決議書
(ウ) 支払先が作成した請求書
2. 評価結果(表23参照
総務省、国土交通省、環境省が満点であった。
(1) 会議名・目的(5点)
 不開示は次の3例
内閣官房  毎週開かれる副大臣政務官会議・次官会議は事実上、朝飯会・昼飯会であるが、議題等、会議目的の記載がない。
経済産業省  通商交渉の打ち合わせ会の名称・目的について相手国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由に不開示。
警察庁  国際テロ対策セミナーについて招聘国名を公開しない約束を理由に不開示。
(2) 出席者名(20点)
 内閣府、総務省、厚生労働省、国土交通省、環境省は全面開示(20点)
 その他の省庁は個人識別情報を理由に一部不開示(10点)
   不開示の主な事例
外国公務員、新聞記者、外交団(武官など)、民間人
 なお、叙勲伝達式・障害者の会議等への出席者に同伴する配偶者・付添人の氏名についてはプライバシーにあたると判断し不開示を不問とした。
(3) その他の開示(10点)
 全省庁ともに日時、場所、出席者数、支出額、費用内訳を開示し、支出決定簿、請求書も開示した。
<目次へ戻る>
W 職員旅費の評価と問題点
1. 開示請求の概要
開示請求した文書は次のとおり。
(1) 本省において平成14年度に支出された職員旅費について作成された支出決定簿のうち、月度別合計額が記載されているページ(平成14年4月から平成15年4月出納整理期間分まで)
(2) ○○局○○課において平成15年3月に支出された「職員旅費」のうち、宿泊を伴うものについて旅費請求書および旅行命令簿等出張目的のわかる文書
注: (2)については各省庁で大臣官房以外の局で一つの課を選び請求した(局のない内閣官房を除く)。
2. 評価結果(表23参照
(1) 官職・氏名(5点)
 内閣官房の内閣情報調査官の職員出張について氏名の開示は「嫌がらせ等不当な圧力がかかるおそれがある」という理由で不開示としている。会計検査院も、直近の検査出張でまだ検査資料の分析途上にあるとして「外部の圧力・干渉を招来するなどして・・厳正かつ円滑な検査の実施に支障を及ぼすおそれがある」ことを理由に検査結果の公表までは不開示としている。
 一方、警察庁は一部の職員氏名を不開示としているが、開示請求された職員の出張用務は「第○回全国警察音楽隊演奏会打ち合わせ会」や「警察広報研究会」などであった。「個人識別情報であり、公にする慣行がない」としているが、公務による出張であり、捜査などで氏名を秘匿しなければならない特段の事情がないかぎりは開示すべきである。
(2) 出張目的(10点)
 用務に会議名などが具体的に記載されるか、用務先に具体的な役所名や団体名などが記載されているか、いずれかであれば詳記として10点とした。「○○事業現地視察」あるいは「○○対策現地調査」など抽象的な表現で、かつ用務先が○○県○○市など大まかな地域しか記載されていない場合は略記として5点とした。内閣官房のように「情報収集活動の目的、内容を推察され、対抗措置・妨害措置を取られるおそれ」を理由に一部不開示とするところも5点としたが、会計検査院は結果未発表を理由にすべてを不開示としたので0点とした。
(3) 金額(5点)
 金額については全省庁ともに開示した。
<目次へ戻る>
X 諸謝金の評価と問題点
1. 開示請求の概要
 大臣官房以外で一つの局を選び、平成14年10月〜12月分について次の文書を開示請求した。
(1) 支出決定簿または支出一覧表
(2) 支出を申請した文書
(3) 支出を決定した文書
(4) 支払先が作成した見積書・請求書または領収書
2. 評価結果(表23参照
(1) 使途(5点)
 諸謝金の使途は審議会、委員会、政策研究会などへの出席に対する謝礼の類が多い。その他は、意見聴取に対する謝礼、説明会・研修の講師謝礼、翻訳・通訳謝礼、試験・論文審査謝礼、原稿料、法律相談委託料などがある。
 不開示とされた使途情報
内閣官房 情報調査室のすべての謝金
財務省、経済産業省 国際交渉にかかわる委託業務の謝金
(2) 支出先(15点)
法人について
 内閣官房、経済産業省の上記使途不開示分について支出先も不開示とされた。
個人について
内閣官房 全面不開示
防衛庁 大半は「有識者」に対する意見聴取への謝礼であるが、昨年までは防衛庁顧問の氏名・学歴・職歴を開示していたのを今年はすべて不開示とした。
内閣府、総務省、法務省、財務省
学識者の氏名だけを開示し、所属役職を不開示
 その他の省庁では、概ね大学教授、研究調査機関・団体の役員は所属役職氏名が開示され、民間団体関係者、所属団体のない個人についてはすべて不開示とされている。
(3) 金額(5点)
内閣官房、法務省、財務省、経済産業省
法人への支出金額や複数人への支出の総額を不開示
厚生労働省 個人氏名を不開示としたものに金額まで不開示
 特筆すべきは文部科学省で、個人別の謝金額をすべて開示した。個人の収入額は一切不開示とするのが大勢であるが、少額(1回あたり数万円以下)のものは金額が開示されても、個人の利益を損ねるとは考えられにくい。情報開示への積極的な姿勢を評価したい。
(4) 開示文書の種類(10点)
 財務省では支出決定簿・一覧表と支出申請書類のかなりの資料が開示されなかった。また環境省では支出決定簿・一覧表が開示されなかった。農水省は支出申請書類がほとんど不開示。
<目次へ戻る>
Y 制度運用の評価と問題点表23参照
(1) 請求件数のカウント(20点)
 情報公開法の施行令では文書請求件数は「行政文書ファイル」数によりカウントし「相互に密接な関連を有する複数の行政文書」は「1件の行政文書とみなす」と定めている。 今回、会議費の支出証拠文書の請求では、多くの省庁が1件と認めたにもかかわらず、総務省と国土交通省は5件とした。両省は政令に定める文書のカウント方法に基づいて判断していると主張するが、その理由は食い違っており、結果的に両省の恣意的判断と見ざるを得ない。
(2) 手数料の現金払の可否(5点)
 開示実施にあたって複写を請求したときには、多種多額な印紙を用意することが不便なことが多いので、現金でも納付ができるように運用を弾力化するよう要請されているが、6省庁が対応していない。
(3) 受付書の交付(5点)
 他の省庁は請求書に受理印を捺印し、コピーを交付しているが、財務省だけは請求者に1枚20円を支払わせて自分でコピーさせている。 受付書はその後の補正や問い合わせに必要なものである。コピーの実費は10円未満でもあり、開示請求手数料300円でカバーされるものとして受付書を交付すべきだろう。
(4) 出納整理期間の文書の開示(5点)
 出納整理期間の文書への対応が省庁によって大きく違った。すなわち、請求時点(4月24日)には出納整理期間中の支出決定簿は完成していなかったとの理由で防衛庁、外務省は「不存在につき不開示」処分とした。他の省庁は、開示請求日現在では作成途上であっても、5月下旬の開示決定日までには作成出来る文書として開示した。
 防衛庁、外務省にも窓口で請求の趣旨をきちんと説明しているので、他の大方の省庁と比較して著しく不親切な取扱いであると判断し0点とした。
(5) 請求から閲覧までの期間(30点)
 法務省、環境省、警察庁、会計検査院は、請求より開示決定通知書の発送などを経て閲覧に至るまでの期日が30日以内であり、早期開示に努めている点が評価できる。 外務省を除くその他の省庁は40日以内。
(6) 不開示理由の明示(10点)
 会議費および諸謝金の開示等決定通知書の不開示の理由と開示文書をつき合わせて次の基準で評価した。
文書あるいは文書の種類ごとに不開示の部分、根拠条項、理由が具体的に記載されている場合 10点
理由が根拠条項の記載のみか抽象的な表現の場合 5点
 会議費で、積極的に説明しようとする努力が不足しているのは法務省、財務省文部科学省、防衛庁であった。
 諸謝金で理由説明が根拠条項に止まっているか、開示文書の該当部分との対応がつけられていない省庁は内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省
(7) 事業者の請求書の振込先口座および印影の開示(20点)
 過去2回の情報公開度調査では、請求書に記載されている振込先口座および印影は業者の内部管理情報とみなされ、法人利益を損なうおそれがあるとして不開示とされてきた。
 しかし、最高裁は奈良県食糧費情報公開請求事件の上告審判決で、支払請求事業者等の請求書の振込先金融機関名、口座番号等は、不特定の顧客に対する振込みの便宜のために自らの意思で記載されたものであり、また印影は、通常は銀行取引に使用する印章を請求書に押捺することはないので、開示されたとしても必ずしも事業者等の「正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらない」とした。
 法務省は最高裁の判決に対し、情報公開法の条文は「正当な利益を害するおそれがある」であり、奈良県条例の「正当な利益が損なわれると認められるもの」に比べれば、その範囲は広く解釈はされると主張する。 しかし、不特定多数の顧客に送る請求書に記載された振込先口座や印影を開示することが、その業者の利益を害するとは「認められるものには当たらない」がその「おそれ」はあると一律に解釈し、すべてを不開示とする根拠は極めて希薄である。
 最高裁の判決を受けてこれらを全面的に開示したのは、経済産業省、国土交通省、環境省、警察庁、会計検査院。
 総務省は相手業者に使用した印鑑を確認し、銀行印や実印の場合のみ不開示にしたが、これは説得力がある。(20点) 内閣官房、内閣府は業者利益を損なうおそれがあるとして振込先口座は墨塗りとし、請求者印のみを開示した。(10点) 全面不開示にした省庁は法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、防衛庁の7省。
(8) 支出決定簿に会議費を示す記載またはマーキングがあったか(5点)
 庁費の支出決定簿には多種多様の支出項目がアトランダムに記載されており、どれが会議費に該当するかを判断するのは容易ではない。
 「会議費」と記載されていたのは文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、会計検査院
 マーキングを付したところは総務省、法務省、外務省
<目次へ戻る>
Z まとめ
1. 2年間の改善点と残された問題
 今般の第3回中央省庁情報公開請求の活動で感じるのは、この2年間でいくつかの点で省庁の対応の改善が進んでいることである。例えば法定期限内での開示決定が一般的になって来たし、不開示の場合の理由説明も十分とはいえないが格段に詳しくなっている。窓口での文書の特定もスムーズに行なわれるようになった。これらは、2年が経過して省庁が少しずつ情報公開制度に慣れて来たことが主な理由であろうが、また当センターが定期的に情報公開度のランキング付けをして、各省庁を競い合わせ、その都度、いろいろな注文をつけてきたことも多少の貢献をしているかと自負している。しかし、問題点は省庁の縦割り意識、連携の不足である。最高裁判例への対応や請求件数のカウントに見られるように省庁同士の情報交換あるいは学びあいの姿勢が見られない。また、未だに省庁の所有する情報は国民のものであるという基本的な意識改革は出来ていない。情報公開は見せてやっているのだ、恩恵を与えているという感じが拭い切れない。
2. 順位の変動した省庁
 今回、制度運用に重点を置いた結果、ランキングの順位に大きな変動が起こった。第一に財務省(前回2位)の最下位への転落である。開示度引上げの努力が足りない上に、制度運用での消極姿勢が見られる。文部科学省も過去には2位、3位の高順位を得ていながら今回9位に急落したが、主因は制度運用での対応の不十分さにある。国土交通省は開示度引上げの努力が認められ、着実に順位を上げてきている。
3. 防衛庁、外務省の硬直化した対応
 警察庁でも捜査情報など開示出来ないとする情報を抱えている点では防衛庁と類似する官庁であるが、開示できるものは積極的に応じよういう姿勢が感じられる。これと対比すると防衛庁の硬直的な対応が目立つ。昨年来、情報公開の分野で多くの問題が発生したためか、ガードを固くして後ろ向きの姿勢に終始している。
 同様のことは外務省についても言える。今回は職員旅費、諸謝金の一部について以外は、いずれも開示決定の延長をしてきている。「大量の資料請求」を理由としているが、実際に開示された文書を見ると、ほんの数枚だったりして決して大量などというものではないケースもある。開示決定の延期が恒常化し、迅速に対応しようとする姿勢が全く失われてしまっている。
 当センターの外務省報償費訴訟はすでに2年を経過して、実質的な議論に入ることがないままに引き伸ばしされ、便宜供与文書の国会議員名不開示への異議申立ても店晒しにされたままである。外務省の情報公開は実質的な機能を停止しており、その状況を改善しようとの姿勢も感じられない。
4. 最高裁判決への対応
 飲食店などの請求書に記載された振込先口座や印影などは情報公開の必要性から見ればそれほど大きなものではないかもしれない。しかし、今回の評価ではこれらの墨塗りは極めて重要なポイントとなった。奈良県情報公開条例で最高裁が出した判決を援用してこれらを開示するか、それとも条例と情報公開法の文言の相違を理由にして、あくまでも墨塗りしようとするか。開示したのが6省、墨塗りしたのが7省とほぼ半々に分かれた。
 請求書には顧客の便宜を図って振込先銀行名と口座番号を記載している。それを開示することが、なぜ、事業者の利益を害すると言えるのか。請求書に押捺される印章は通常、銀行印や実印ではない。なぜそれをすべて墨塗りする必要があるのか。納得できるような説明はどこからも得られない。結局、出来るだけ情報を開示したくないというだけのことで、省庁の基本姿勢を示す判断基準となった。
5. 今後の課題
 ランキングでは開示度と制度運用だけを見てきたが、センターの活動はこれで十分というわけではない。
(1) ムダな支出の追及
 今回の開示文書でもいろいろな問題点を推測させるものもあった。例えば、某省が12月に支払ったタクシー代が7千6百万円であった。これは庁費の一部のページのみで算出されたもので、すべての庁費を調べればもっと大きな金額かも分からない。残業時にタクシーを使うのか、特殊な事業でタクシーを多用したのか、判断する資料はまだ無いが、一般市民の感覚で言えば、いかにも多すぎる。今後の課題は不当、不正な支出の追求だろう。
(2) 1年半後の情報公開法の見直しを目指して
 情報公開法は施行後4年(2005年)をめどとして見直しされることになっている。国会審議の過程で議論された諸問題が検討対象になる。知る権利、不開示事由における個人識別情報、また請求手数料・公益目的による減免など、検討されるべき問題は数多い。具体的な問題の提起や国民的な運動の展開が、今後、急務となって来る。
以上
<目次へ戻る>