処分庁 外務大臣 田中 真紀子殿
平成13年7月18日

異議申立人 特定非営利活動法人 情報公開市民センター
                        理事長 高橋 利明
異 議 申 立 書

 次のとおり異議申立をする。
1 異議申立人の住所・氏名・年齢     
住所:〒160-0008東京都新宿区三栄町10番1号 橋爪ビル2階
特定非営利活動法人 情報公開市民センター
理事 (事務局長) 黒田 達郎(62歳)
2 異議申立に係る処分
      貴庁の平成13年6月1日付けの異議申立人に対する行政文書開示決定等通知書
     (情報公開第02329号)
3 異議申立に係る処分があったことを知った年月日
      平成13年6月5日
4 異議申立の趣旨
      第2項記載の処分を取り消すとの決定を求める。
5 異議申立の理由
(1)情報公開請求
 異議申立人は、平成13年4月2日、処分庁に対して、情報公開法(以下「法」と言う。)に基づき、外務省大臣官房で支出された平成11年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等支出がわかる書類の情報公開請求をした。
(2)不開示決定
 処分庁は、平成13年6月1日、(1)の請求に対し、下記の理由のより不開示処分(以下「本件処分」)を行った。
「不開示とする理由
 報償費は、国が、国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じその都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり、外務省においては、情報収集及び諸外国との外交交渉を有利に展開するため使用する経費がこれにあたります。
 このような報償費の支出証拠書類ほか具体的支出に関する文書が開示されることにより、報償費の具体的使途に関する内容が明らかになることで、情報収集や外交交渉における相手の権利や立場に影響し、あるいは他国もしくは国際機関との間で外交上問題が生ずるおそれがあります。この結果、国の安全が害されるおそれがあり、他国もしくは国際機関との信頼関係を損ね、またはこれらとの国際交渉上の不利益を被るおそれがあると認められます。
 また、これらの内容が明らかになることで、相手の権利や立場に影響を与え、これらとの信頼関係を損ねる結果、その後の情報入手や外交工作が困難になると考えられます。これにより、外交に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあります。
 したがって、本件請求に係る報償費の支出証拠ほかの文書は、情報公開法第5条第3号及び同条第6号の情報に該当します。」
(3)本件処分の違法性
 本件処分は、次の理由により違法である。
 イ.開示請求した行政文書は「報償費」の支出決済文書等であり、そこに記載されている情報は、金員交付の相手方氏名や懇談会の開催場所、開催日、人数あるいは参加者氏名などの会合の外形的な事実に過ぎないもので、懇談会等の個別具体的な内容が明らかにされるものではない。かかる情報が開示されたからといって、直ちに、不開示決定通知書が挙示する事由のおそれが生ずるわけではない。
 ロ.6月5日に公表された外務省改革要項でも、在外公館での国内からの賓客の接待費を機密費から外したり、機密費の支出を削減するなどの方向が示され、いわゆる「機密費」には国益上守秘が求められる「外交機密費」に該当しない部分が含まれていることを自認している。したがって「報償費」の費用項目を一括して全面不開示とする処分は違法である。
6 処分庁の教示の有無及びその内容
 本件一部開示決定書において、「この決定に不服がある場合には、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、総務大臣に対して異議申立てをすることができます。」との教示があった。
7 その他
     (1)添付書類  現在事項全部証明書 1通
     (2)証拠物件等 行政文書開示決定等通知書 写し  1通
以上