第2回中央省庁情報公開度調査と結果
(情報公開度ランキング)

2002年8月


情報公開市民センター


― 目 次―
1、はじめに

2、調査の目的

3、情報公開請求の概要

4、評価項目・採点基準

5、開示度の評価結果(ランキング・問題点)

6、支出内容に見る問題点

7、まとめ



表1:平成13年度各省庁の3費目の予算一覧

表2:中央省庁情報公開度ランキング採点基準表

表3:中央省庁情報公開度ランキング

表4:大臣交際費の内容・開示度と問題

表5:諸謝金の内容・開示度と問題点

表6:情報公開制度の運用状況



特定非営利活動法人 情報公開市民センター
〒160-0008 東京都新宿区三栄町10-1橋爪ビル2階
Tel 03-5368-1520 Fax 03-5368-1521
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第2回中央省庁情報公開度調査(情報公開度ランキング)

2002年8月

特定非営利活動法人 情報公開市民センター

1. はじめに

センターは、昨年度に引き続き情報公開法に基づき中央省庁に対して、大臣交際費、諸謝金、報償費の支出調書・支出証拠書類等の情報公開請求を行い、その文書を分析し、問題点を洗い出して省庁の情報公開度ランキングを行ったので、その結果を報告する。

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2. 調査の目的

当センターの役割は、国民の知る権利の行使に対し、各省庁が情報公開法に規定する原則開示を遵守しているかどうかを監視し、中央官庁の公開度を高めることにある。今回、法施行後1年を経過したのを機に、各省庁の行政文書の開示状況を再調査し、一層の改善促進を図るべくランキング評価を行った。


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3.  情報公開請求の概要

3. 1 請求対象省庁

内閣官房、1府12省庁1院(15官庁)

内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛庁、警察庁(新規)、会計検査院


外務省については、4在外公館(在米、在仏、在中国、在フィリピン各大使館)も対象にした。


3. 2 請求文書と請求対象期間
大臣交際費
2001年 4月分〜12月分
諸謝金(大臣官房分)
2001年10月分〜12月分
報償費(大臣官房分)
2001年10月分〜12月分

各費目について下記の文書を請求した。
全件が一覧できる文書、支出総額がわかる文書、個別支出を申請した原課の文書、個別支出を決定した文書、支払先が作成・捺印した見積書・請求書または領収書
*報償費については、大臣官房に予算を持っている6省庁(内閣官房、法務省、外務省、厚生労働省、警察庁、防衛庁)に開示請求した。
(表1:平成13年度各省庁の3費目の予算一覧)


3. 3 開示請求書提出日

4月1日(月)当センターのメンバーが各省庁に開示請求書を提出した。

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4. 評価項目・採点基準など(表2:中央省庁情報公開度ランキング採点基準表)

昨年度と同様、交際費、諸謝金、報償費および制度運用について上記基準表に基づき採点した。交際費、諸謝金、報償費の開示度については昨年とほぼ同様の基準とした。制度運用については昨年8月のオンブズマン全国大会における緊急改善要望項目を加え一部変更した。
*報償費についても評価は行ったが、昨年同様ランキングの対象から外すことにした(詳細は6・3に記述)。
 

4.1 評価項目と採点基準

(ア) 満点を200点とし、交際費、諸謝金の開示度に各65点、制度運用に70点を配分した。
(イ) 交際費、諸謝金については交際相手(支払先)情報を重視して、各30点、開示文書の充実度に15点、使途情報、金額情報に各10点を配点した。
(ウ) 制度運用では、請求から閲覧可能日までの所要日数を重視し30点、請求件数の取扱い方、現金払いの可否に各10点、情報公開窓口への案内板の有無、窓口応対の適切さに15点、請求書に対する受付済証交付の有無に5点を配点した。

交際相手(支払先)情報については、団体・法人情報が開示されるのは当然とし、個人情報の開示に重点を置いた。
使途情報については、明確な支出目的、具体的な品目名が記載・開示されているかを評価基準とした。
金額情報については、墨塗りの有無を評価の基準にした。ただし個人名が開示されている場合は個人別支払額の不開示は不問とした。
開示文書の種類については、@一覧・合計を示す文書、A伺い文書(事前伺い、支出負担行為決議書)、B支出証拠文書の3種類があるかを評価の基準にした。
請求件数については、複数費目で1件を満点とし、単一費目で1件を次善とした。
請求からの閲覧可能日数については、開示決定期限30日以内を30点とし、40日以内(30日で決定通知がなされた場合を想定)20点、70日以内(延期を含め60日以内に決定通知がなされたことを想定)10点、それ以上かかった場合は0点とした。


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 5.開示度の評価結果(ランキング・問題点)

前記の評価基準に基づいて採点を行った結果は下記の表の通りである。
外務省を除く各省庁は交際費、諸謝金に関する請求文書はすべて(一部不存在は除く)開示(部分開示を含む)され、閲覧が可能であった。 外務省については在外公館分を含め、各費目の一覧表のみが開示されたに止まり、決済文書、支出証拠書類については9月末までに開示すると通知あるも7月末現在開示決定はない。そのために採点は一覧表から読み取れるものに限られる。

(表3:中央省庁情報公開度ランキング)
(表4:大臣交際費の内容・開示度と問題点)
(表5:諸謝金の内容・開示度と問題点)
(表6:情報公開制度の運用状況)


5.1 総評

総合点は、200点満点に対して165点〜75点の間に全15省庁が分布した。昨年度(14省庁)は145点〜110点であったから各省庁間の開きは拡大している。改善したところ7省庁、悪化したところ2省庁、横ばい(5点程度の増減)5省庁となり、大きく括れば二分化してきたと評価できる。
最高点は総務省(165点)、次いで財務省(160点)、文部科学省(150点)、会計検査院(145点)、国土交通省145点)が続く。法務省(100点)、外務省(75点)は昨年度を大きく下回る評価である。平均点は131.3点(昨年127.5点)であり、若干の向上が見られる。平均点以上は8省庁。
トップになった総務省は諸謝金の支出先について墨塗がないことが評価された。前回は諸謝金の支払先である委員名簿を墨塗りしたことに対し、既に公開されている情報であると当センターが異議を申し立てた結果、これを受け入れて開示され、今年度は適切に運用されている。ただし閲覧までの期間が60日を越えていることは改善を期待したい。
開示が完了していない外務省を除いて最下位になった法務省は交際費、諸謝金ともに相手方を一切開示しなかったことによるものである。また13位の厚生労働省は交際費の支出相手先の開示度が低いためである。
評価区分ごとの特徴は次の通りである。


5.2交際費
(1) 交際費の使途

多くの省庁で葬儀向け供花・香典が大半を占めており、葬儀支出と戦没者追悼式供花だけというところもある。地方自治体の場合は首長の選挙民への儀礼用が主であるが、中央官庁では身内・OBへの供花、香典がほとんどであることは昨年同様である。 なお文部科学省、農林水産省、厚生労働省では供花、香典が交際費から支出されず、庁費から支出されているのでこの分の開示を請求し、他省庁と内容を合わせた。
高額の支出で目立つのは外務省(外交団接待会食)、内閣官房(桜を見る会)である。
交際費の一部として記念品、贈答品の購入支出がある(法務、外務、文部科学、厚生労働、農水、経済産業、防衛、会計検査院)。他の省庁での取扱は不明である。  


(2) 交際費の開示度

葬儀支出の場合、物故者名・喪主名および省庁との関係については一部の上級幹部、OB以外は個人識別情報を理由として墨塗りされている場合が多い。その中にあって国土交通省は53件のすべてについて逝去者、役所との関係について開示しており、満点(65点)の評価となった。また財務省、文部科学省においても氏名の開示度は高い。供花をする以上は既に相手氏名は公開されているも同然であるとの判断である。一方環境省、法務省では相手方はすべて墨塗である。同じ物故者に対し、各省から供花されている場合にあっても、各省の判断で開示になったり、不開示になったりと分かれている事例もある。内閣官房、内閣府も相手氏名の開示は高いが、これは相手が著名人に限られているからである。
経済産業省では、大臣交際費の使途は戦没者追悼式に対する供花を除き、接客用弁当代、海外要人に対する土産物代であり、相手先は開示されていない。一方国土交通省、財務省では交際費の全案件は葬儀支出となっているが、接客用弁当代や土産物代などの支出はないのか、あるとすれば交際費以外のどのような費目で支出されているのか気になるところである。
厚生労働省では、交際費は昨年同様大臣以下主要役職者9人の支出用の前渡しである。(3四半期合計1,692千円) そのうち大臣分の支出として使途の一部が開示されている。(支出証拠伝票合532千円) 昨年はその使途については一切開示がなかったのに比べれば改善といえる。これとは別に昨年は渡し切り交際費の存在が明るみにでたが、これは廃止されている。
外務省は支出一覧表の開示にとどまり、支出証拠の開示を未だに延期している。    


5.3 諸謝金
(1)諸謝金の使途

各省庁に共通する謝金の主な使途は下記の項目であった。
@審議会、委員会、政策研究会、意見を聞く会等への出席に対する謝礼
A診療所、健康診断、健康相談、健康講習会での医師、保健婦等に対する謝礼
B職員研修講師に対する謝礼
C翻訳、通訳謝礼

昨年度と時期の違いがあってか(昨年は平成12年2月〜3月分)、昨年度に見られた国民運動の名目による外郭団体などへの支出は見当たらない。新たな項目として政策評価委員会(総務、文部科学、農水)、入札監視委員会(法務、農水)に関する支出が見られる。活動内容、成果について関心を持ちたい。
   

(2)諸謝金の開示度

・支出目的および金額」は各省庁とも基本的に開示した。しかし「相手先」について団体名はほぼ開示されたが、個人名については開示・不開示に大きな差が出た。総務省(65点)、文部科学省(60点)ではほとんどが開示された。法務省(30点)では一切不開示となった。相手先が訴訟案件担当弁護士については訴訟事務への支障を、司法試験等の試験官等については試験の公平性確保への支障を不開示理由としている。農林水産省では開示している入札監視委員の氏名についても法務省では個人識別情報として不開示としている。
・個人名が「個人識別情報」に該当するとしても、公金の支出による公務に関わる情報の開示が直ちに「プライバシーなどの個人の権利利益を損なう」と判断することは出来ない。
・個人名であるから無条件に不開示とするのではなく、「不開示にしなければならない理由および根拠」について法に基づいて厳格に判断し、不開示とする場合には開示決定通知書に具体的な理由を記載すべきである。
   

5.4 制度運用

・制度運用について最も重視したのは、請求から文書の閲覧可能までの所要日数である。前回は延期をしない省庁であっても期限一杯の30日目であったが、今回は会計検査院が24日目、厚生労働、農水、国土交通は25日目に開示決定を発行している。請求が前回に比べて少ない、事務の慣れなどもあったのであろうが、できるだけ早く、という官庁の努力を評価したい。一方、内閣官房、内閣府、総務、外務の4省は昨年と同様に延期してきた。外務省は未だに一部のみの開示決定に止まっているので論外であろう。
・件数カウントの仕方については相変わらず定説がない。1費目1件とするところが多いが、根拠は曖昧である。同一年度の支出についての請求であるから費目の如何に係らず1件とするべきではないかと考える。
・手数料の現金払いについては個人請求者、地方での請求者からは特に強い要望がある。多種にわたる収入印紙を容易に買える環境にないところが多いことを考えれば、現金にて納付することが認められるべきではないか。今回は総務、外務、厚生労働、経済産業、内閣官房、内閣府、環境、防衛においては請求受付窓口で印紙に交換する形で現金による納付が認められた。その他の省庁では現金による納付は拒絶された。国民が情報公開制度を利用しやすくする上ではぜひとも認められるべきであろう。官庁における現金の取扱について厳正であることに異存はないが、国民の権利行使の容易さとのバランスも必要であろう。
・利用のしやすさも考えるとき、窓口に容易にたどり着けることも重要である。 今回は役所の入り口に情報公開窓口が分かりやすく表示されているかどうかを評価した。その結果もっとも分かりやすく表示があったのは総務省、警察庁である。他の省庁においても初めての来訪者にとって分かりやすいかどうか今一度確認を要望したい。また窓口係官の対応として適切と評価したのは総務、法務、財務、文部科学、農水、経済産業、環境、警察であった。

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6. 支出内容に見る問題点

開示文書から見られる支出内容が適正であったかどうか見極めることは困難であるが、やはり関心は持たざるを得ない。
各省庁の支出内容について次のような問題点が指摘できる。


6.1 交際費

@省庁統合を機会に交際費からの支出を供花、香典に絞ったのではないかと思われる国土交通省。昨年は高速道路代、レコーダー購入代金、出張旅費不足補填、次長室業務用酒類などがあり、支出内容の適否に疑問があると指摘した。これらの支出は無くなったのか、どこかにまぎれ込ませたのか。
A外務省では依然として交際費支出が交際費とODA交際費が一定比率(プロラタ)で分配が行われ、結果、ODA資金が開発援助関連とは思えないものにも使われている。
B文部科学省の供花の見積書、請求書の中には日付が記載されていない、業者が違うにもかかわらず明らかに同一筆跡のものがあるなど開示請求に対応して作成されたものではないかと、疑われるものが見られる。


6.2 諸謝金

各省の官房部局のみのデータであるから、氷山の一角とは思われるが、今後とも追跡したい項目がある。例えば
@外郭団体に対する継続的な多額の支出(内閣府・総務省)
AOBへの定例的ご意見伺いなどを名目にした謝礼支出(防衛庁)


6.3 報償費(ランキング対象外)

報償費は6省庁に対して「官房部局から平成13年10月〜12月に支出されたもの」について開示を請求した。厚生労働省についてはこの期間、支出がないことを理由に不存在の決定があったので、あらためて平成13年度内における全部局の報償費支出について開示請求をした。

(1)全部又は一部開示の省庁

       使  途金  額
法務省社会を明るくする運動標語優秀者賞金110千円
厚生労働省福祉事務所職員の業務中災害に対する見舞金については開示
麻薬取締りに関する協力者に対する謝礼については不開示
 
警察庁警察組織、職員に対する表彰関係支出、相手先、金額開示
捜査協力者に対する謝礼については不開示
 


(2)全面不開示は昨年同様 内閣官房、内閣情報官、外務省、在外公館、防衛庁である。不開示の理由として法5条3号、5号、6号をあげているが、抽象的であり、不開示理由の説明責任を果たしていない。厚生労働省、警察庁に倣い不開示項目を絞り込んで原則開示すべきであろう。 

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7.まとめ

昨年および今年の中央省庁に対する一斉開示請求を通じて、国民の情報開示請求に対する中央官庁の態度について若干の改善が見られる一面、内閣官房、外務省の報償費については前回同様、全面不開示となった。その支出内容の中には法に定める不開示理由に該当しないものも含まれていることが報道や当事者の弁明によって自明にもかかわらず、である。
センターでは前回の外務省の報償費不開示決定に対してその取消しを請求する訴訟を提起しており、東京地裁において6回の口頭弁論を通じてその問題点を明らかにしてきた。被告(国)は裁判所の度重なる訴訟指揮にもかかわらず不開示理由を明確に説明する資料の提出を渋っている。
この裁判を通じて我々は「不開示理由を厳密に解釈し、原則開示を徹底させて官庁の情報開示にあたっての恣意的判断を食い止める」ことを主張している。また法の施行4年後に行われる見直しにあたって法の規定および運用について問題点を洗い出し、改正点を提案していくことも課題であり、そのために多様な情報開示請求を重ねて検証していく方針である。


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