2000年3月9日版

第4回全国(都道府県・政令指定都市)
情報公開度ランキング

全国市民オンブズマン連絡会議

<目 次>
はじめに
T 調査日、調査方法、および調査事項のあらまし
1 実施要領
2 調査項目と配点等
U 調査結果
1 総合ランキングについて
2 首長交際費のランキング
3 議長交際費のランキング
4 土地開発公社情報のランキング
5 警察情報のランキング
6 食糧費・出張旅費―追試の合格は4県のみ
7 コピーのコンビニなみ料金は8県
V 都道府県担当者からさまざまなご意見・要望
W 最下位グループ県知事を考える―官僚出身・長期政権・与野党相乗り
X 政令指定都市など
1 12政令市
2 任意参加都市について
Y 集計表
表1 都道府県総合ランキング
表2 (都道府県)首長交際費ランキング
表3 (都道府県)議長交際費ランキング
表4 (都道府県)土地開発公社ランキング
表5 (都道府県)警察情報ランキング
表6 都道府県開示度ランキング
表7 (都道府県)食糧費・出張旅費・総合点ワースト5改善度
表8 政令指定都市総合ランキング
表9 (政令指定都市)首長交際費ランキング
表10 (政令指定都市)議長交際費ランキング
表11 (政令指定都市)土地開発公社ランキング
表12 (政令指定都市)開示度ランキング
表13 任意参加都市(参考資料)
表14 採点基準


目次


はじめに

99年度の都道府県等情報公開度全国調査を、99年11月に実施しました。第4回目となります。
今回は、調査事項が従前と大きく変わりました。これまで継続してきた「食糧費」「出張旅費」の調査を打ち切り、@首長交際費、A議長交際費、B土地開発公社の土地保有情報、C警察本部の所轄事業である信号機の設置工事費、の4事項としました。なお、食糧費、出張旅費については、前年度で著しく開示度が低かった10県だけを対象にして、継続調査を行ないました。
このように調査事項が大きく変わりました。そのことの影響と考えられるのですが、ランキング上位(ベスト10)では、昨年躍進した自治体の幾つかが、今年は急降下するという現象が認められました。付け焼き刃の受験生は、試験科目が変わるとついて行けないことがあると聞きます。その一方、これまでの最上位クラスを占めてきた宮城、北海道、三重の上位は揺るぎませんでした。そして、上位グループと最下位グループとの較差がますます拡大して行きます。また、知事が変わった愛知県の最下位からの躍進などが目に付きました。
なお、今年は、公表の前に、私たちの調査結果を各都道府県にFAX送信し、事実の確認を行ない、調査の正確を期しました。これに対しては、各自治体から、真摯で熱心な指摘やご意見を頂戴しました。ありがとうございました。


目次


T 調査日、調査方法、および調査事項のあらまし
実施要領
1)情報公開請求実施日 1999年11月11日(一部の自治体は別の日に実施)
2)請求文書
@ 首長交際費
99年8月から10月に支出した首長交際費の
・支出金調書
・出納簿
A 議長・副議長交際費
99年8月から10月に支出した議長・副議長交際費の
・支出金調書
・出納簿
B 土地開発公社情報
98年度(98年4月から99年3月)中に土地開発公社が取得した土地に関する「取得依頼書」および「同年度(98年度)末の公社土地一覧表」
注1) 同年度に取得土地がない場合はそれ以前の「取得依頼書」。
注2) 東京都は土地開発公社がないため、公有地取得情報で評価。
C 警察情報(都道府県のみ実施)
99年度中に都道府県警が支出した信号機の設置に関する以下の文書
・支出金調書
・支出伺書
・請求書
・これに関する一切の資料
D 食糧費(懇談会)・出張旅費に関する特別調査
第3回ランキングの食糧費、出張旅費、総合点のそれぞれワースト5の都道府県についてのみ実施。
(@) 懇談会(ワースト5は、栃木、宮崎、鹿児島、熊本、島根)99年8月から10月に実施した食糧費による懇談会の
・執行(実施)伺書
・支出金調書
・請求書
(A) 出張旅費(ワースト5は、熊本、愛知、静岡、長崎、宮崎)99年7月から10月に財政課において実施した出張に関する
・旅費請求書
・旅行命令簿
・自治省で7月に開催された、財政担当者会議の復命書およびその添付資料
(B) 総合点(ワースト5は、愛知、栃木、群馬、宮崎、富山)
総合点ワースト5の自治体は上記(@)、(A)の請求をともに行なった。
3)請求先
@ 知事(市長)宛
2)のAについては、議会が条令の対象となっている自治体、または議会が要綱の対象となっている自治体では知事(市長)宛と同時に議会宛にも請求。
調査項目と配点等
調査項目の詳細と配点・採点基準は、この報告書の末尾に掲載してあります。
1)首長交際費
この項目は継続調査ですが、一部の自治体をのぞいて、知事交際費の公開度は全体に上がってきて、支出の相手方以外の項目(支出日、金額等)はかなり開示されるようになってきました。また、その使いみちも冠婚葬祭、祝い金などで、かつての機密費のようなものは見受けられなくなりました。そこで、今回は、調査項目を支出の「相手方」に絞り込みました。「病気見舞いの個人名まで原則開示」しているところは満点の30点(素点です。以下おなじ)、全面非開示は0点で、6段階の評価です。
2)議長交際費
この項目は、多くの自治体で情報公開の実施機関となっていない議会の情報公開がどの程度行なわれているかを、チェックするために採用しました。調査の項目と配点・採点基準は、首長交際費とおなじです。この費目の公開度は、議会情報の公開度を示す指標となります。
3)土地開発公社情報
自治体の別働隊で巨額の含み損をかかえている土地開発公社の土地保有状況が、どれだけ住民にわかるように情報公開されているかをチェックするために、この項目を新設しました。@98年度に公社が取得した土地について、自治体が公社に土地取得を依頼した状況が公開されているか、住民が手にした資料で、土地の地番・面積・価格・取得目的が明確にわかるようになっているか、そして、A公社が現に保有している土地について、地番・面積・価格(利息分もふくむ)が、一覧できる状態になっているか、全体の姿がわかりやすくなっているか、をチェックしました。配点は30点満点で、土地の「取得依頼書」(または「契約書」)および「公社保有土地一覧表」について、上記の各項目に3点ないし7点をくばり、これらの事柄がわかる資料が公開されていれば加算する方式です。文書自体が公開されても、土地保有の実態がわからない資料では加点をしません。
なお、東京都は、土地開発公社をもっていないので、公有地取得情報を対象として評価しました。
4)警察情報
都道府県が99年度に設置した信号機の支出決済文書がどれだけ開示されているか、の調査です。信号機の設置は都道府県警察の仕事です。現在、公安委員会は情報公開の実施機関にはなっていませんが、財務の収支と管理は知事の責任です。また「警察情報」であっても、信号機の設置に関する情報は、捜査情報ではなく、秘匿すべき性質の情報ではないので、これらの情報がどの程度開示されているかをチェックしました。これも新設の項目です。
配点は30点満点。一件ごとの工事の、工事業者名・設置場所・工事金額がわかる情報公開がされていれば満点。情報公開の実施機関ではないことを理由にして、公開請求を「不受理」とか「不存在」と応答し、かつ、異議の申立ての教示もしない回答(通知)をした場合は、0点。その間の開示状況にしたがい加点する方式です。
5)食糧費・出張旅費
昨年までの調査と同様です。自治体全体としては、食糧費と職員の出張旅費については、開示度はかなり高くなり、「食糧費」については、この費目での「懇談会」の開催自体がいちじるしく減り、資料の収集が難しくなっているほどでした。そこで、99年実施の調査では、これらの事項を全国調査からははずしました。しかし、このように開示が進む中でも、依然として、懇談参加の相手方の氏名や懇談場所を隠したり、出張者の氏名を開示しない「お庭番出張」を繰り返している自治体がありました。これらの県は、いずれも総合の開示度も低くなります。
今回の調査では、98年調査で「食糧費」「出張旅費」の各項目でワースト5、総合でワースト5であった10県についてだけ調査を実施しました。配点、採点基準は、従前と同じです。


目次


U 調査結果
総合ランキングについて
「表1」に総合ランキングを示しました。
総合点でのトップ5には変動がありました。このところ安定して上位を占めているのは、宮城、北海道、三重です。高知がはじめてトップ5に入り、愛知県は最下位から5位へ躍進です。これまでの上位自治体は、次のように変化しています。
今 回 宮城、北海道、三重、高知、愛知
第3回 宮城、三重、北海道、岡山(失格)、山口
第2回 北海道、岡山(失格)、沖縄、青森、宮城
第1回 宮城、沖縄、徳島、岡山(参考)、岩手
宮城県は、今回は、80点でダントツの1位です。第2回をのぞき、1位を確保していることについては敬意を表します。情報公開の採点項目5つのうち、3項目で満点でした。上位の自治体は、調査項目が変わっても平均して高い得点を維持しています。また、一つの話題は、昨年、一昨年と最下位を守ってきた愛知県が5位に大躍進したことです。昨年と何が変わったかといえば、知事さんが変わりました。愛知県は、まだ非開示の部分が多く改善の余地が大いにあるのですが、しかし昨年とは様変わりです。昨年99年のランキング調査報告のコメントの末尾で、「新知事の下で、愛知県が、情報開示先進県に変身すること、期待して止みません」と記しました。情報公開は知事の姿勢の鏡です。知事の決断で公開度は大きく変わるのです。愛知県は、さらに非開示条項を絞り込む方向の検討を行っていると聞きます。大いに期待します。
一方で、昨年3位の山口県が19位、同じく7位の千葉県が30位に後退と、調査事項の変化に対応できないところもありました。
最下位グループを点検します。今回とこれまでの順位変動は次のとおりです(順番は、失格都県をのぞいた最下位からです)。
今 回 富山、山梨、宮崎、長野、福井
第3回 愛知、栃木、群馬、宮崎、富山
第2回 愛知、栃木、大分、長崎、岐阜
第1回 山形、静岡、佐賀、山梨、大分
最下位グループにも変化が起きました。最下位を互いに競い合っていた愛知と栃木、そして群馬がそれぞれ努力をしてこのグループを離れたので、前のままの富山と宮崎が最下位に落ちてきました。統一調査事項から外した食糧費・出張旅費の開示状況については別に述べますが、宮崎県では、いまだにこの二つの項目で全面の「墨塗り」が続いています。懇談の場所もスミ、出席者もスミ、出張者は「お庭番」です。富山県も、今年の調査での改善度は「ゼロ」です。今年の全国調査に、「食糧費」と「出張旅費」を加えていたら、富山県と宮崎県は、両県の前を走る自治体の後ろ姿が見えないくらいにその後方に置いてきぼりを食っている状況です。知事は、誰のための県政とお考えなのでしょうか。先進県知事のツメの垢を煎じて飲めとは申しませんが、せめて宮城産のササニシキを毎日召し上がり、体質の改善に努められることをお勧めします。
● 失格都県
今年も、残念ながら失格の自治体が出ています。閲覧手数料を徴収する東京都、山形県、静岡県です。岡山県は総じて開示度が高かったのに、手数料の徴収で失格となっていましたが、昨年これを廃止しました。これも喜ばしい改善です。3都県には、ぜひ改善をしてもらいたいものです。
首長交際費のランキング
首長交際費は第2回からの調査事項です。「表2」にランキングを示しました。
昨年度の調査では、首長交際費の支出日時・金額については、最下位グループをのぞいて、ほとんどの自治体が公開をしておりました。そこで今回から、調査項目は、「支出の相手方」だけに絞りました。冠婚葬祭・祝い金などの支出の相手方氏名(個人、団体名)を、どこまで開示しているか、を調査しました。
全面公開(満点の30点)と判定できたのは、宮城、北海道、高知、沖縄、東京の5都道県(原則として、ランキングの高い自治体の順に記述)でした。これらの自治体では、病気見舞いの支出でも原則開示の措置を採っています。
それに次ぐ開示をしている自治体が10県で、三重、愛知、秋田、岩手、滋賀、青森、鳥取、岡山、和歌山、兵庫でした。一方、16の県が相手方氏名を全面非開示(0点)としています。首長交際費の開示は、最も早くから住民が求めてきたものです。知事の身辺を透明なものにするためにもその改善が求められます。総合ランキングの30位くらいから下は、ほとんどの県が、非開示となっています。
議長交際費のランキング
議長交際費の開示請求は今回が始めてです。「表3」に示しました。
満点(30点)は、宮城、北海道、高知の総合ランキング上位自治体に止まりました。
これらの自治体ではほぼ全面開示です。ついで、団体名は開示、個人で「病気見舞い」などの場合には非開示とする措置をとる自治体が、三重、秋田、滋賀です。
一方、相手方はすべて非開示とする自治体は、じつに35都府県に及びます。東京都は、知事自身の交際費は全面公開なのに、議長交際費は全面非開示です。
住民に代って自治体行政を監視し、住民にもっとも近いはずの議会がこの有り様です。
こうした状況では、議会が知事部局に向かって公開の促進を迫ることができるはずがありません。情報公開後進県では、知事と議会が、二人三脚で公開をサボっているのです。
そして、今回は議会の情報公開に対するつよい拒否反応を具体的な形でかいま見ることができました。鳥取県では、首長交際費の相手方氏名については原則開示しています(20点)。そこで、今回の市民オンブズマンからの議長交際費の開示請求について、知事は議長に対して、「県は積極的に情報の開示に努めることにしております。つきましては、貴議会事務局において管理されております当該文書を自主的に公開されてはいかがと存じますが、貴職の見解をお伺いしたい」と公開を勧告したのです。鳥取県議会では、2年越しで議会関係の情報公開制度を検討して「議会独自の情報公開条例を制定すべし」との結論も出ていました。しかし、鳥取県会議長は、「今後十分な検討を行った上で実施していきたい」「照会に係る文書について公開することは差し控えたい」と回答してきました。公文書の原則公開は当然です。わずかな文書を住民に見せるために、議会は一体何年「十分な検討」を繰り返すというのでしょうか。行政も今一つですが、改革にきわめて後ろ向きな議会の一端をご紹介しました。
土地開発公社情報のランキング
このランキングは、「表4」に示しました。
「土地取得依頼書」(または「契約書」)ですが、自治体から開示された資料で、自治体が土地開発公社に取得を依頼した土地の、事業ごとの地番・面積・価格・取得目的がわかるようになっているかで、採点をしました。開示されても、そこに住民にとって有用な情報が記載されていなければ、意味がないからです。
こうした情報が記載された資料を開示した府県(満点15点)は11ありました。また、地番までの記載はないが、「丁目」「字」までを記載した資料が準備されていた道・県は17でした。当然のことではあるのですが、「土地取得依頼書」の全面不開示とか「不存在」とかの応答はなく、何らかの資料の開示がありました。ですから、この項目では、0点はありませんでした。
「土地保有一覧表」についてですが、公社が保有する事業保有地の地番・面積・価格(金利等をふくむ現在簿価)が、一覧できる表が公開されているか、で採点をしました。この項目で満点(15点)の都道府県はありませんでした。「字」や「丁目」単位で表示した保有地の一覧表を公開しているところが三重、東京、静岡、愛媛、大阪、長崎の6都府県でした。そして、府県の半数は面積と価格で各事業地の保有状況を示す資料(8点)しか準備していませんでした。そして、そうした一覧表もなく、保有する土地の総量と総額だけで、住民が知りたい情報が記載されていない資料しか提示できない県がありました。これへの評点は、ゼロとしました。なお、住民にはなじみの薄い資料でもあったので、請求するにあたって資料名を特定しにくいこともありました。請求の仕方については、今後の検討が必要と感じました。
ともかく、土地開発公社は、どこでも大きな含み損や不要地を抱えています。こうした土地の保有状況を住民は知らなければならないのに、自治体が公開・公表する姿勢に欠けていることは明らかです。今回の調査は、このことを明らかにしました。
警察情報のランキング
 このランキングは、「表5」に示しました。
公安委員会はほとんどの自治体で、情報公開の実施機関とはなっていません。それは、捜査機関の情報をむやみに公開できないという事情があるからです。しかし、警察でも、道路行政や庶務、官房など一般の行政事務もあるので、全面的に警察情報を除外する正当性はないはずです。今回は信号機の設置についてですから、一般の知事部局の情報公開となんら性質は変わるものではありません。信号機の設置に関する情報を開示したら、犯人が捕まらなくなるわけもありません。しかし、情報の開示状況はきわめて悪いのです。
設置工事を行なった業者名・設置場所・工事金額をすべて開示した満点(30点)はありませんでした。部分開示での最高点(20点)は、新潟、岩手、大阪、石川の4府県でした。宮城県も、設置場所と個別の工事金額が不明の状態でした。公開請求に対して、文書を管理していないとして、「不受理」にしたり、「不存在」と回答、また非公開(0点ないし3点)とした自治体は、41都道府県に及びました。これらの都道府県は、公安委員会が情報公開の実施機関となっていないことにかこつけて、文書の保管を警察本部に移してしまい、「不存在」と逃げてしまうわけです。
今回の請求に対して、開示に応じた府県は、県警所管事務の支出決済文書も知事部局で保管をしている自治体だということになります。行方不明の女性が発見されて保護されたという報告を聞きながら、県警本部長と特別監察官が飲食のうえ、マージャンに打ち興じ、おまけにウソ発表をして非難を浴びた新潟県警ですが、県からは信号機の情報は開示されています。これは、知事部局に文書が保管されていたためです。しかし、これが幸いして、いくらか名誉挽回ということになりました。
ともかく、今回の調査結果は、警察が情報公開に徹底的に後ろ向きであることを、あらためて印象づけました。
食糧費・出張旅費―追試の合格は4県のみ
このランキング調査結果は、「表7」に示しました。
食糧費を使った懇談会の情報公開については、8県を継続調査しましたが、その得点順位は、次の通りでした。群馬、愛知、島根、鹿児島(以上38点の満点)、熊本、富山、栃木、宮崎です。満点の4県と熊本以外は、相手方出席者の氏名はもとより県側の出席者氏名も開示しないがんこな態度ですが、宮崎県は、これに加えて、懇談の場所すらスミ塗りという徹底ぶりです。このところの改善著しい公開資料を見なれた者にとっては、宮崎県のを手にとると、考古学者になったような気がします。こんな化石のような資料は、日向の地でしか発掘されなくなりました。満点の4県は合格、他の4県(「表7」で※を付した県。熊本、富山、栃木、宮崎)は追試継続となります。
出張旅費の調査は次の8県で、順位は、愛知、栃木、熊本(以上38点の満点)、長崎、富山、群馬、静岡、宮崎でした。長崎県については、同県は98年7月に運用改正して出張者の氏名を開示するようになりましたが、その改正の前後に私たちの98年度調査が重なり、私たちは改正前の資料に着目して、「お庭番出張が続いている」と、昨年のコメントで指摘したところ、同県知事から文書で抗議を受けた経緯があります。今回の調査では、同県は満点には至りませんでしたが、出張者の氏名は開示されておりました。今回の調査時点で、「お庭番出張」を続けているのは、群馬、静岡、宮崎となりました。全都道府県で、出張者の氏名を住民に公開しないのは、この三つだけになりました。今どき、姿を隠して密命を果すなどという公務出張があるのでしょうか。中でも宮崎県は、食糧費とともに、出張旅費でも最低得点(38点満点で10点)で、その閉鎖ぶりは徹底しています。私たちの目には、県庁には外に漏れる灯かりもなく、窓という窓には目張りがされているお化け屋敷のように見えます。ついでに、他の都道府県がそれなりに改善に向けて努力している中、富山県は食糧費と出張旅費項目で改善度「ゼロ」、群馬県と宮崎県が出張旅費で改善度「ゼロ」でした。
これらの結果、出張旅費の追試は、満点の3県と高点の長崎県が合格、残留は、群馬、富山、静岡、宮崎となりました(「表7」※)。富山、宮崎は、二科目残留です。
コピーのコンビニなみ料金は8県
コピー料金は大きな関心事です。コンビニ並みに、1枚(A4基準)10円という料金にしているところは、秋田、宮城、千葉、石川、岐阜、愛知、三重、愛媛の8県です。15円が北海道と徳島。30円が22県と数の上では約半数。30円についで多いのは20円で12府県でした。
高い方は、広島が40円、福岡が35円です。両県はこのコピー代金の徴収で、ピンチの県財政の立て直しを考えているのでしょうか。
政令市と中核都市では、横浜市と長野市・熊本市が30円で、あとは20円と10円。そうじて都道府県の方が高いことがわかります。
ところで、閲覧手数料の徴収をしているのは、山形県、東京都、静岡県であり、これら3都県を失格としました(東京都は、99年に条例改正して手数料の大幅な引き下げをしたが、引き続き閲覧手数料を徴収する)。山形県からは、「1枚につき30円だけの徴収であり、それもコピーをする場合には、コピー料に充当している。それを東京都や静岡県と同じ扱いはおかしい。それに、手数料を取るのは一部非開示のときだけで、全面開示のときはとっていない」との抗議がありました。山形県の説明では、同県の手数料は「スミ塗り手数料だ」ということになります。「スミ塗り」することに非常に手間がかかることは事実ですが、その手間代を住民から請求することは筋違いです。そして、閲覧手数料は、住民が大部な資料を閲覧してその中からコピー資料を選択するという作業を行なう場合には、大きな障害となります。山形県の説明では実害がないようように見えても、県が見せたくない資料(スミ塗りをする)を多量に閲覧する場合には、請求者に負担がかかることになります。やはり、不当なバリアなのです。


目次


V 都道府県担当者からさまざまなご意見・要望
昨年、福島県について集計上のミスを犯したことを反省、また、自治体側から意見を寄せてもらうのもよいのではと考え、今回からは、素点の採点が終ったところで、採点表を都道府県にFAX送付することとしました。「誤りがあれば指摘を、ご意見があればお寄せください」というお願いです。これに対しては、予想を超えて各地から応答をいただきました。FAXで6府県から、電話は7県から。
自治体側からの指摘は、およそ三つありました。請求の対象期間中に、当該の支出事例がなかったことから資料の入手が得られず「資料なし」として判断していた事柄について、「当県は、かくかくの事柄については公開している」との指摘。少し変わったものとしては、「当県は、議長交際費は開示していない。減点になるが訂正をしてほしい」という正直な?ご指摘もありました。ついで、請求人側と自治体側とで請求資料内容の受け取り方に違いがあって、「資料を××と特定してくれれば、公開できた」との指摘。そして、今回、多くあったのが、開示された土地開発公社の「保有土地一覧表」についての評価でした。
たとえば、「土地取得依頼書と公社保有土地一覧表を、請求人の請求に従って全部公開したのに、満点でないのはなぜか」とのクレーム。同種のものとして、「地番の記載のない公社保有一覧表を公開したところ、その部分の評点が0点となっている。地番の記載のない資料しか存在せず、これを全部公開したのだから、情報公開制度としては、減点はおかしい」という抗議もありました。確かに、公開の窓口としては、「手持ちの資料を、請求に従って開示する」という以上には対応できないことは理解できます。しかし、私たちは、住民にとってほとんど値打ちのない情報を与えられても、それを評価するわけにはいかない。住民が欲しい資料を自治体側では容易に作れるからです。そして、それを備え置くことが行政にとっても必要なはずで、そうした資料を作成しておいて欲しいと要求することは、けっして過大な要求ではないと考えるのです。
こうした窓口や担当課とのやり取りの中で、自治体側の担当者の真摯な対応も認められました。倉庫を3日も探してくれたとの報告や、「そういう資料なら」と、わざわざ、地元市民オンブズマンに届けてくれた担当者もありました。FAXで丁寧なご指摘もいただきました。
こうした努力に感謝致します。これらの経緯を経て、市民オンブズマン側で見過ごしていた点については修正し、自治体側との見解の相違による場合には、十分に説明をさせていただいて、ご了解を願ったつもりです。
ともかく、いくつかの自治体の担当者の熱意には、ここで改めて敬意と感謝を表させていただきます。


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W 最下位グループ県知事を考える―官僚出身・長期政権・与野党相乗り
この採点結果だけが情報の公開状況のすべてを語るものでないことは言うまでもないのですが、最下位グループ5県の得点は、100点換算で20点未満です。上位4県に比べれば、4分の1から3分の1の得点です。富山県の得点(100点換算で13点)は、宮城県のそれ(同80点)の6分の1です(昨年の1位と最下位の較差は、3対1でした)。

最下位グループでは、首長・議長交際費の相手方の氏名をまったく開示しない、土地開発公社の「保有土地一覧表」の公開では、住民に提供される情報は最低レベル、警察情報も知事部局からはいっさい出ない。コピー代も高め。どれ一つとっても、情報の開示に積極的と評価できる指標が出てきません。
愛知県の例をみると、知事の決断次第で自治体の情報公開が即刻すすむということが、よくわかります。宮城、三重、高知などでは、公開へ向けての知事のリーダーシップが、よく指摘されます。そこで、最下位グループ5県の知事の政権環境を見てみましょう。
行政がよどみ、住民の利益がないがしろにされる政治の条件として、@知事は官僚出身、Aその下での長期政権、B選挙体制は与野党相乗り、という3条件が指摘されます。このような条件の下では対抗する政治勢力は弱体化、知事は殿様となり、たまに聞こえる庁外からの批判は雑音としか聞こえなくなり、住民の声は届かず改革は止まる、となるのでしょう。この3条件で、最下位グループをチェックすると、やはり、ピッタリでした。山梨県をのぞけば、4期、5期、6期という超長期政権、出身は自治省、林野庁という立派な経歴、選挙は与野党相乗りで共産党をのぞき議会挙げて総与党。山梨県知事は、経歴こそ町長ということですが、任期3期目、与野党相乗りという条件は同じでした。
こういう体制では、議会の大勢は行政からの利益配分のおこぼれに与るのに忙しく、行政の透明化や利権排除には、むしろ敵対的ですらあります。これでは、行政監視のシステムである情報公開がすすむはずはありません。
市民オンブズマン福井からは、知事交際費の公開を広げるとの昨年の知事発言を楽しみにしていたが、「やっぱり、リップサービスでした」とため息交じりの報告を寄せてきました。みやざき・市民オンブズマンからは、「知事の情報公開への認識。まったくなし」と絶望的な回答です。
この項を、「日本一になった富山」からの、市民オンブズマンの報告で締めくくることにしましょう。
[富山発]
当県の知事は、情報公開制度について、こんな程度の理解しかしていません。ある情報公開請求訴訟で、県はとんでもないことを言っているのです。
「情報公開制度は、……主体的な県政の参加者として個々の施策の決定や実施に関与する意思と能力を高め、より多くの県民が自由闊達に県政に参加することを推進するための方法の一つ」、と言いながら、「県政への県民参加をより充実したものとするために、情報公開の総合的な推進をはかるためのものであり、その結果として、県民による県政に対する監視がより容易になることがあるとしても、それはあくまで結果であって、目的ではないのである」と言うんです。
「住民には、情報公開制度の結果的なおこぼれを与える」というんですよ。うちの知事さんは。
うちの知事さんは、なんでも日本一を目指す人ですが、情報公開に消極的なのは、長引いた任期の中で不正・腐敗がたまり、これが明らかになるのをおそれているからではないかと、地元では言われています。それにしても、こんなことで日本一になるとはね。


目次


X 政令指定都市など
今回は12政令市のほか、地元の市民オンブズ(マン)グループが自主的に行った16の市に対する情報公開請求の結果についても評価しました。これらの都市について簡単に触れることとします。
12政令都市
仙台市と札幌市が同点で1位、3位に川崎という順で、失格となった3市を除く最下位は大阪市です。仙台市は昨年に続いてのトップです。都道府県のランキングとあわせてみると、今年も1位は宮城県勢が独占、という結果になりました。また、同点1位の札幌市についても、北海道が都道府県ランキング2位となっているので、北海道勢強しという結果も際だっています。この2市については県や道の情報公開に対する取り組みが良い形で影響を及ぼしていることが想像できます。これと反対に、所在する県とともに得点が100点換算で40点に満たない低迷地区は福岡市(33点で7位)と失格の北九州市に対する福岡県(19点で38位)、広島市(32点で8位)に対する広島県(21点で34位)、失格の千葉市に対する千葉県(25点で30位)の4市があり、都道府県の情報公開への取り組み方が伝染する傾向がうかがわれます。
もっとも、市町村は都道府県に比べてより住民に身近な存在ですから、政令市の得点が都道府県よりも悪い、というのは問題です。1位にはなりましたが100点換算の得点では仙台市も札幌市もまだまだ宮城県や北海道に負けています。所在する県の得点が40点に満たない低迷県は比較の対象として問題外ですが、府県よりも得点が低かった名古屋市(40点・愛知県は54点)、京都市(38点・京都府は48点)、大阪市(25点・大阪府は44点)、横浜市(失格・神奈川県は40点)の成績は不甲斐ないと言えるでしょう。
こうしてみると、政令市の情報公開への取り組みはまだまだ遅れていると言えます。また、閲覧手数料については廃止の作業をすすめている自治体もあるようですが、昨年11月の段階でいまだにこれを徴収している政令市が3市もありました。一番最後まで閲覧手数料を残す情報公開制度に敵対的な市はどこかについても引き続き注目したいと思います。
任意参加都市について
最後に今回の調査に任意参加した都市のうち、資料が集計事務局に送付されてきた16の都市について簡単に触れることとします。
これら16の都市については集計事務局に送られてきた資料のみを評価したため、すべての項目についての採点となっていません。
交際費については前橋市、長崎市がパーフェクトの公開をしてきました。また、鹿児島市については市長交際費よりも議長交際費の公開度の方が高い、という都道府県や政令市では起こらなかった逆転現象が起こっています。しかし、政令指定都市のところで述べたように、市町村は都道府県以上の公開をして当然です。交際費についてはそれぞれ20点以上の公開をするべきでしょう。
また、都道府県ランキングで最下位の富山県の県庁所在地富山市は、やはり富山県と同じように交際の相手方についての情報は一切公開しませんでした。昨年までの情報暗黒地帯といえば愛知県でしたが、今回の調査では同じ中部地方の日本海側の富山県に情報暗黒地帯が移動した感があります。
土地開発公社関係の文書では、和歌山市が今回調査した自治体中唯一、満点の公開をしている点が注目されます。土地開発公社の文書の公開については土地取得などの行政事務が害されるなどという理由で、多くの自治体が完全な公開をしていませんが、現に情報の全面的な公開をしている和歌山の例は、情報の公開が行政事務を害さないことを証明しています。


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